5月の第2日曜日は台湾の「母親節」、日本でいう母の日です。日頃の母の苦労をねぎらい、母への感謝を表す日という点では日本と同じですが、その習慣や母の日にかける熱意はやや異なります。
台湾の転職求人サイト「yes123求職網」が今年2023年に行ったアンケート調査によると、93.4%もの社会人が母の日を祝うなにかしらの計画があります。予算も平均で6,543元(およそ28,800円)、経済効果にすると559億元(およそ2,460億円)にもなるといわれているので、扱っている商材に関わらずブランドやメーカーとしては、決しておろそかにできないイベントといえるでしょう。
また、前述のアンケート調査によると、母の日に贈りたいギフトは45.2%が現金(紅包)、42.5%が健康食品、31.5%が化粧品やスキンケア用品となっていますが、実はマッサージチェアや小型のマッサージ機なども母の日のプレゼントとしてはとてもメジャーなんです。
今回は、そんな母の日に贈りたいギフトの定番のひとつ、台湾でよくみられるマッサージチェアのブランドについて調べてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
マッサージチェアはどこで買う?消費者の傾向をざっくりご紹介
母の日や両親の誕生日など、台湾の人はいざマッサージチェアを買おうと思ったらどこで買うことが多いのでしょうか?
マッサージチェアや健康家電に限定した台湾のデータは見つからなかったため、3C(コンピュータ、通信、家電)全体に関するデータになりますが、「未来流通研究所」(www.mirai.com.tw)によると、台湾の3C販路では家電量販店「燦坤」「全國電子」がそれぞれ8%ずつでトップ、続いて「大同3C」が2%程度とのことで、日本に比べて家電量販店のシェアが低いことがわかります。
また、「未来流通研究所」の他のデータによると実店舗をメインとする3C販路の売上のうち、オンラインが占める割合が7%程度となっていることから、多くの人が3C販路の実店舗で購入していることがわかります。
台湾で家電を買うならどこがおすすめ?
また、こちらの記事「家電去哪買有差嗎? – 電小二」(https://applianceinsight.com.tw/blog/post/where-to-buy-appliance)によると家電を買う際に検討すべき販路として以下をあげています。
- 近所の電気屋さん
在庫が少ないので何を買うにせよ入荷を待たなければいけないが、店主によっては購入後の簡単なアフターサービスまで担ってくれることがある。 - 家電量販店やハイパーマーケットの家電売場
メーカーや機種が一通りそろっているため、台湾国産メーカーや比較的安価なメーカーはここで買うことが多い。ただし販売員の知識が不十分だったり、店舗へのバックが多い機種をおすすめをされることがある。 - デパートのメーカー直営店
販売員の知識がしっかりしているため、特定のメーカーや機種について知りたい場合は最もおすすめ。価格に関してはデパートの規定もあるので、あらゆる販路の中で最も高いことが多い。 - ECモール
価格が最も明瞭でメーカーも機種も最も多い。価格の比較検討がすぐに出来るので、すでに買うものが決まっている場合はECモールが最も安い。ただし、機能面などは実際に使ってみないとわからないことが多いので、実際に試してみるのがおすすめ。
ざっくりとこんな内容でしたが筆者の周りの経験で考えても、ネットで下調べしてデパートなど直営店で販売員に相談し、最終的にECモールで購入することが多かったので、この記事の内容には同感です。
購入までのカスタマージャーニーを実例でご紹介
ここからは筆者と筆者の周りの体験談になりますが、実例があるとわかりやすいと思うのでご紹介します。
筆者親族は数年前、60歳になる母に大きめの誕生日プレゼントを買おうとマッサージチェア購入を検討しました。メーカーや機種は特に考えていなかったので、まず母をデパートに連れて行って一通り試乗してもらい、最終的に気に入ったシートマッサージャーを直近のデパートのキャンペーンのタイミングで購入しました。
筆者自身はマッサージピローとシートマッサージャーを購入したことがあります。マッサージピローについては大型家具店のHOLAで安売りしているのを見て軽く試して気に入りその場で購入しました。シートマッサージャーは以前から気になっており、家樂福で父の日セールをしていたのを見て試乗したうえで購入を検討、メーカー直営店で販促を確認し(そして値段交渉もして)、直営店で購入しました。
台湾で人気のマッサージチェアブランドを一挙ご紹介
ここからは台湾で人気のマッサージ家電メーカーをご紹介します。
そもそも量産型のマッサージチェアは、1954年に日本のフジ医療器の創業者の藤本信夫が1954年に製作した「フジ自動マッサージ機」が最初です。日本でマッサージチェアが普及してから台湾にも輸入販売されるようになったという経緯があるので、当初はマッサージチェアといえば日本メーカーでしたが、近年は日本メーカーのような名前をした台湾ブランドも多く、ぱっと見ではわからないようになっているので、それぞれご紹介していきたいと思います。
輝葉:大胆なマーケティングで一躍トップブランドに
(https://www.hueiyeh.com.tw/り)
輝葉は1983年創業の健康器具ブランドで堅実な経営で知られていました。今の経営者に代替わりしてから、手ごろな値段で買えるマッサージチェアなどを展開。同時に郭書瑤という大物イメージキャラクターの起用など大胆なマーケティングを展開して規模を3倍に広げることに成功。現在はビビアン・スー(徐若瑄)をはじめ、香港の任達華や鄭伊健、台湾の人気アイドル王心凌を起用して積極的な認知施策を行っています。
母の日は主力商品の値下げのほか、空気清浄機や除湿器などのプレゼントを行っていました。
tokuyo:三洋の代理販売からオリジナルブランド設立へ
(https://www.tokuyo.com.tw/)
tokuyoは三洋のマッサージチェアの代理販売、委託製造をしていた督洋生技という会社が、2010年に三洋がマッサージチェア事業を畳んだことをきっかけに独自ブランドを展開した台湾のマッサージチェアブランドです。Panasonicのマッサージチェアの代理販売も行っています。
そんなtokuyoの母の日の販促企画は、抽選で当たるマッサージチェアなどの自社商品、指定商品購入でフライパンなどをプレゼントでした。
TAKASIMA:台湾発の健康器具ブランド
(https://www.takashima.com.tw/)
TAKASIMAは台湾で1977年と比較的早期にできた健康器具の会社です。台湾の人気女性アーティストグループS.H.EのElla(陳嘉樺)と時をかける愛(想見你)というドラマで有名な許光漢という俳優をイメージキャラクターに起用しています。
そんなTAKASIMAの母の日の販促は全商品適用の16%クーポンバックと、Dysonなどの家電が毎週当たる抽選キャンペーンでした。
JOHNSON:台湾発の世界三大フィットネスマシンブランド
(https://www.johnsonfitness.com.tw/)
JOHNSON喬山健康科技はフィットネスマシンで世界三大ブランドのひとつにはいる台湾が世界に誇る会社のひとつです。ジョンソン自社ブランドのマッサージチェアもあるのですが、まだ技術的にも未発達な部分があるため、自社ブランドと同じくらいの割合で日本のフジ医療器の代理販売も行っています。
フジ医療器の(台湾?海外?)限定機種RESEATでは、イメージキャラクターに台湾で最も人気のアーティストグループ五月天を起用しており、購入のプレゼントにスターラックス航空の東京往復チケットをつけるなど、かなり力を入れています。
FUJI:フジ医療器の代理販売から自社ブランドへ
(https://www.efuji.com.tw/)
FUJIというブランド名でマッサージチェアを販売しているのは1993年創業の棨泰健康科技股份有限公司という会社でフジ医療器の代理販売をしていたことから、早期に富士FUJIという商標を登録し、代理販売権がJOHNSONに移った後もFUJIというブランド名で自社商品を製造販売しています。2015年の代替わりの際に株式の大半を中国廈門の同業者に売ってしまった関係で現在は中国の会社のようになっているそうです。(二代拒接班 富士按摩椅變中資 – 自由財經 https://ec.ltn.com.tw/article/breakingnews/1392642)
そんなFUJIの母の日の販促企画は指定商品の大幅値引き、指定金額以上の購入で割引もしくはクーポン券プレゼント、キャッシュバック、抽選で当たる生活家電などでした。
OSIM:シンガポール籍の国際企業によるブランド
(https://www.osim.com.tw/)
OSIMは1980年に創業されたシンガポール籍の国際企業・傲勝國際によるマッサージチェアのブランドです。創業者および経営者はシンガポール出身の沈財福で出資者および販売拠点は香港・中国・台湾・シンガポールになります。OSIMというブランドができたのは1994年ですが、2003年にiSymphonic(音感智慧椅)という商品がタイム紙の「年度創新商品」(THE BEST INVENTIONS)に選ばれたことで一躍有名になりました。
そんなOSIMの母の日の販促は割引だけと控えめなのですが、もともと手ごろな価格帯の商品が多いのでそれでも選ばれるという面もあると考えられます。
まとめ
今回は台湾でよく見かけるマッサージチェアのブランドについて紹介しました。高価格帯の商品で動きが少ないためか、データがなかなか見つからず主観的な部分が多くなってしまったのと、CONCERNやBHなどもご紹介できていないので、またしばらく勉強して加筆修正していこうと思います。
弊社コラムではこのように台湾の販促イベントや実際の販促活動の事例、台湾の消費者習慣など台湾でビジネスをされる方のマーケティングに役立つ情報を発信しております。Twitterでもほぼ毎日、台湾で見かけた販促事例についてご紹介しておりますので、そちらもぜひチェックしてみて下さい。
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