日本で6月の販促テーマと言えば父の日のほかは、梅雨ということで雨対策グッズだったり、もうすぐ夏ということで衣替えや暑さ対策グッズのセールを行ったりするのではないかと思います。
台湾も5月の中旬から6月の中旬にかけて雨の多い梅雨シーズンに入り、梅雨があければ長く厳しい夏が始まります。また、台湾の学校は9月入学制のため卒業式が6月にあり、これも販促のキーワードとして使われることがあります。
台湾の父の日は8月ですが、代わりに台湾の四節句のひとつ端午節があり、それに伴う連休があります。
また、ECでは618購物節・年中慶という比較的大きな販促イベントがあり、こちらも注目度の高い販促イベントです。
そこで今回は台湾で一般消費者向けのビジネスをされる方の参考になるように、各イベントの詳細と6月の販促企画を立てるポイントをご紹介いたします。
台湾で6月の販促キーワードといえば
さて、台湾の6月のイベントは以下のようになります。
- 端午節:6月22日。日本でいう端午の節句。6月22日-25日が連休。
- 補班日:6月17日。端午節連休のための振り替え土曜出勤(学校も)。
- 年中慶:6月18日。618購物節とも。ECを中心としたセール・イベント。
- 畢業季:卒業シーズン。
- 梅雨季:梅雨シーズン。本格的な夏に入るということで仲夏というキーワードも。
このなかでも注目度が高いのが、端午節と618年中慶です。では、それぞれのイベントについて詳しく見ていきましょう。
6月の台湾の販促キーワード:端午節
端午節は中華圏の四節句(春節、清明節、端午節、中秋節)のひとつで、日本でも端午の節句として知られています。旧暦の5月5日が端午節にあたるため、他の四節句と同じように毎年カレンダー上の日付が変わりますが概ね6月のどこかになります。
端午節は本格的な夏に入る前に疫病を祓う日としての意味が強く、日本の端午の節句でも飾られる菖蒲やヨモギなどの薬草を使った香包を作ったり、龍船(ドラゴンボート)を漕いで疫病を追い払ったりする風習があります。また、中国戦国時代の楚の忠臣「屈原」が重用されず失意のうちに汨羅江に身を投げたの5月5日で、民衆が屈原を助けようと船を出したり、屈原の体が魚に食べられてしまわないように餌になる粽(ちまき)を川に投げ入れたのが、端午節の龍船や粽の習慣の始まりともいわれています。
端午節はなにが売れる?販促アイディアもご紹介
端午節で一番盛り上がるのは「粽(ちまき)」を扱う小売店や飲食業界です。スーパーでもコンビニでもレストランでもホテルでも、あらゆるところに粽の広告が貼られるようになり、企業の福利厚生担当は端午節に社員に贈る粽の禮盒(ギフトボックス)を選びます。粽は冷凍もできるので、複数の種類の粽を買って食べ比べをする人なんかもいます。感覚的には日本の恵方巻商戦がさらに大掛かりになったようなものですね。
疫病を祓うという「香包」の風習に乗っかって、アロマやハーブ、フレグランスの商品を扱っているブランドは、それに関連するクリエイティブとセールを行うと認知度向上に効果があるかもしれません。
6月の台湾の販促キーワード:618購物節・年中慶
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6月18日に行われる618購物節・年中慶は、ダブルイレブン同様、中国のECモール発祥のセール・イベントです。11月11日のダブルイレブンは2009年に中国のECモール「アリババ」が始めて今では中華圏で年間最大のイベントともいわれるまでに成長しましたが、この成功を受け別の中国のECモール「京東商城」が2010年に自社の創業記念セールとして始めたものです。2019年ごろから台湾でも浸透してきて、現在ではダブルイレブンに準じるECの大事なイベントになっています。
618購物節・年中慶はなにが売れる?販促アイディアもご紹介
618購物節・年中慶はダブルイレブン同様、ECモールが全面的なセールを行うため、商品のカテゴリに関わらずとにかくお得なものが売れます。特に中華圏で3Cと呼ばれる(コンピューター、通信、家電)ジャンルは購入頻度が低いため、618やダブルイレブンまで待って購入することになり、必然的に売る側からも買う側からも注目度が高くなります。
販促アイディアとしては、割引やキャッシュバック・ポイントバックのほか、送料無料、抽選で当たるプレゼントなど、定番が多いです。2023年の実際の販促に関しては後日別の記事でご紹介します。
6月の台湾の販促キーワード:畢業季
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6月の販促キーワードのひとつ「畢業季」は、卒業シーズンのことを指します。欧米と同じ秋入学を採用している台湾の卒業シーズンは夏休み前の6月。この時期に行われることとしては、「送舊」という卒業生を送り出すパーティーや、「謝師宴」という先生に感謝を伝える食事会、卒業生同士や下級生から卒業生に花やぬいぐるみなどのプレゼントを贈ったり、卒業生が集まって卒業旅行に出かけたりします。
そんな「畢業季」にあわせた販促にはホテルのバンケットやレストランによる送舊・謝師宴プラン、アパレル関連では送舊に来ていく服の特集、ギフトショップやギフトサイトでは卒業プレゼント特集、旅行会社やホテルや交通関係で卒業旅行特集といったところでしょうか。
ただし、いずれもすべての人が参加するような習慣ではないので、集客力や注目度は端午節や618に比べると一段落ちます。
6月の台湾の販促キーワード:梅雨季・仲夏
6月の日本と言えば梅雨真っ盛りですが、台湾でも6月は梅雨の時期といわれています。というのも、台北はもともと雨が多く、冬から春にかけてはほぼ雨なので梅雨に入ったからと言って特別雨が多くなったということもあまりないからです。他の都市でも6月に特別雨が多いという話は聞かないので、もしかしたら時代による変化なのかもしれませんね。
同じ季節がらみでいうと、台湾では「端午節を過ぎるまで衣替えをするな」という言葉があり、裏を返せば端午節を過ぎればもう涼しくなることはないということになります。日中は40度近く、夜間も30度を下回らないような日が3か月は続くような長く厳しい台湾の夏が始まります。そこで「仲夏」というキーワードは夏の暑さをポジティブに捉えるという目的で、暑さ対策の商品の販促によく使われます。ぜひ注目してみてください。
6月の台湾の販促キーワード:補班日
2023年は「補班日」という土曜日の振り替え出勤日(通学日)が6回あります。その週はおやすみが日曜日のみになるため、6連勤+日曜日+3日出勤というハードなスケジュールになり、社会人・学生問わず憂鬱になる日です。そんな憂鬱な補班日応援セールとして、コーヒーショップやコンビニ各社がコーヒーなどの販促を行っていますが効果がありそうなので、補班日が楽しくなるようなちょっとしたアイテムで応援セールを行ってみるのはいかがでしょうか。
まとめ
今回は台湾で一般消費者向けのビジネスをされる方向けに、6月の各イベントの詳細と販促企画を立てるポイントをご紹介させていただきました。年中慶・618購物節はどのような商材でも乗っかれる大イベントなのでぜひ販促企画を立ててみてください。
弊社コラムではこのように台湾の販促イベントや実際の販促活動の事例、台湾の消費者習慣など台湾でビジネスをされる方のマーケティングに役立つ情報を発信しております。Twitterでもほぼ毎日、台湾で見かけた販促事例についてご紹介しておりますので、そちらもぜひチェックしてみて下さい。
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