台湾で生活をしていると「三八女王節」や「三八女神節」といったテーマのネット広告を目にすることがあります。3月8日は何の日なのか、同じようにニュースに出てくる「三八婦女節」となにか関係があるのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
この記事では「三八女王節」、「三八女神節」の由来や、販促キャンペーンの事例などを台湾でマーケティングをする方に向けてご紹介します。3月の台湾向けの販促はどういったものがいいのかお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
三八婦女節:3月8日は国際女性デー
3月8日は国連が定めた「国際女性デー」で、現在は国際連合事務総長が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日となっています。中国語では「国際婦女節」といい、よく「三八婦女節」と言われます。
その由来は、1904年3月8日にニューヨークで起きた婦人参政権を求めたデモで、1975年に国連によって3月8日が「国際女性デー(International Women’s Day)」として制定されました。
国によっては祝日として設定されたり、祝日ではないけれど広く認知されていて、男性が身近な女性に花や小さなギフトを贈ったりするところもあるそうです。台湾では1994年まで祝日扱いでした。日本でもマスメディアやSNSなどで女性の権利や平等についての議論が話題にのぼりやすくなりますね。
台湾ECの三八女神節、三八女王節の由来は?
台湾ECでよく使われる「三八女神節」は「三八婦女節」の派生形で、中国から伝わってきた商業的習慣です。なぜ女神と言い換えられたかと言うと、多くの人が「婦女」という言葉を聞くと、比較的年配の女性を思い浮かべるため、若い女性や自分が年をとっていないと思っている女性には響きません。そこで、どの世代の女性にも響くよう女性を「女神」と呼び「三八女神節」というイベントを創り出して、旧正月後の比較的閑散期である3月の消費を促進しました。「三八女王節」と言い換えられることもあり、実際にこの時期のECモールにおける女性の購入金額を増やすことに成功しました。
台湾の三八婦女節の販促方法をご紹介します
三八婦女節というだけあって販促の対象は女性なので、売れやすい商品も女性向け商品になります。
海外では男性が身近な女性に贈ることもあるそうですが、台湾では自分へのプレゼントという意味合いが強く、「寵愛自己=自分を大切に」というキャッチコピーがよく登場するほか、「美」「魅力」という単語や加齢を気にしないというニュアンスの言葉も使われることが多いです。そういったイメージを持つことから、三八のキャンペーンでは、化粧品・アクセサリー・美容健康食品といったファッション・ビューティーに関するもの、カバンなど自分へのご褒美になるものが中心になります。女性同士でプレゼントを贈りあう習慣もあまりないので、ギフトではなくあくまで自分用としての購入が多いのは注意点です。
また販促の方法としては、「三八婦女節」にちなんで「38%OFF」、「38折=62%OFF」、「ポイント3.8倍」、「38ポイントプレゼント」などがあります。また、38という数字に絡めず割引、ポイント増量、送料無料など通常の販促で推すところも多いので、そこはあまり気にしすぎる必要はなさそうです。
台湾の三八女神節のECモールの販促事例紹介
「三八女神節」といえばやはりECモールが大本命。年齢問わず女性の利用者が多い「momo」や、利用者数で台湾最大手の「Shopee」はもちろん、これまでは3Cを中心に男性向けの販売戦略を維持してきたPchomeも「三八女神節」に参加してきました。そしてやはりギフトをメインにしている「Pinkoi」はこのイベントに乗っからず…「三八女神節」というイベントの方向性がしっかりわかる結果になりました。
momoやPchomeでは
まずは、BtoCで台湾最大手かつ女性の利用者が多い「momo」から。最近のmomoの傾向としては、キャンペーンのトップに表示する商品に眼を引くための認知度が高いブランドだったり、お得なオファーを提供している商品を据えているようです。そのため、おそらく買う側もmomoを訪れる際は「自分へのプレゼント」を、というよりも「三八女神節でなにか安くなっていないかな」というマインドなのかもしれません。そのため、momoで「三八女神節」に売上を伸ばしたい場合は、商材に関わらずかなり特別なオファーを考えて売り場MDに相談するといいでしょう。
去年8月にUIをアップデートしてmomo寄りになったPchomeですが、こちらはやはり自身の強みである家電、しかも女性の好む調理家電やコーヒーメーカーなどちょっと生活が潤うような家電を推しているほか、「三八女神節」の売れ筋商品であるアクセサリーや化粧品をメインに据えているのでこちらは戦略的に合理性があると思います。(Pchomeのブランド戦略についてはそのうち記事に書きますね。)
ShopeeやPinkoiでは
BtoC、CtoCで利用者数最大のECモールShopeeは意外と大人しく、一日限定の割引券配布などで済ませています。ただし、ShopeeはPC版とスマホ版で表示内容を変えており、スマホアプリ版ではもう少し様々なことをやっている可能性があります。
一方、Pinkoiに関してはギフトがメインのサイトのため、「三八女神節」には参加せず独自の化粧品関連のイベントを行っていました。
台湾の三八女神節のリアル店舗の販促事例紹介
ECモールが大盛り上がりする中、リアル店舗は「三八女神節」に乗っかることが少ないという点は特筆すべきです。この時期、リアル店舗は「春到来」「ピクニック」「苺の季節」といったテーマを多く推し出しているように見えます。
ドラッグストアでは
こちらは台湾の大手ドラッグストア「康是美COSMED」と「屈臣氏WATSONS」の3月8日当日のトップページです。
ドラッグストアなので化粧品や美容健康食品など「三八女神節」と親和性の高い商品を売っているのですが、「屈臣氏WATSONS」では3月8日にオンライン限定で割引を行っているだけで、「康是美COSMED」に至っては38の数字がどこにも見当たらないくらいでした。リアル店舗でも「春」がテーマのキャンペーンをしていたので、「三八女神節」はリアル店舗ではまだ一般的でないようです。
コンビニでは
こちらは台湾で最も店舗数が多いセブンイレブンとファミリーマートのホームページです。どちらも「三八女神節」には触れておらず、セブンイレブンでは春がテーマの販促、 ファミリーマートではちょうど3月8日に始まった WBC についての販促イベントがメインでした。
2023年に台湾の台中が会場になったWBC予選に関する販促イベントは、別の記事でもご紹介します!
スーパーでは
こちらは台湾最大手のスーパー、全聯福利中心(PXマート)の3月8日当日のホームページです。 リアル店舗の方ではあまり「三八女神節」を強調しているようには見られなかったのですが、ホームページでは割としっかり取り扱っています。訴求としては、健康食品が最大半額や、期間限定でコーヒーやパンがお得になっていました。
小話:台湾で三八といえば…
台湾では三八といえば台湾の伝統劇「歌仔戲」の「彩旦」(おどけた女や毒婦に扮する女形)に代表されるような女性を指す言葉になっています。その語源は一説によると日本語のミーハーからくるものですが、日本語のミーハーが流行に流されやすい人を指すのに対し、台湾ではさらに進んで行動や考えが常識的でない軽率な女性を指す悪口のようになっています。
しかし3月8日がちょうど国際女性デーにあたることもあり最近は38女王雪38女神雪などと言われることから以前よりは三八という言葉のイメージが良くなったような気がしなくもないです…(笑)
まとめ
台湾の「三八女神節」の習慣と販促事例についてご紹介しました。この「三八女神節」での販促活動はEC業界が中心で、女性が「自分へのプレゼント」に買う化粧品やアクセサリー、美容健康食品やカバンなどが多いことがわかりますね。自社の商品がこのカテゴリーに該当する場合は、かなり気合をいれて取り組めば、旧正月や母の日などの大きなイベントをも上回る売り上げを得ることができるかもしれません。
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