4月初めの清明節連休が明け、台湾では「母の日商戦」=母親節檔期が本格的にスタートします!日本の感覚からするとすこし早いような気もしますが、女性向け商品を販売するブランドにとっては、10月の周年慶や11月のダブルイレブンに並ぶ大イベントとなるため、デパートでは早いところでは3月末から母の日のキャンペーンが始まり、まちなかでは母の日のケーキの広告や母の日のギフトの特集などをみることができます。ECモールも5月本番に向けて徐々に盛り上がっていきます。
そこで今回は、台湾の「母の日商戦」=母親節檔期について実際の例を交えながらご紹介していきます。台湾で女性向け商品を販売するブランドにとっては一年に数度しかない大勝負の時期なので、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
台湾の母の日の習慣
「母の日」の習慣は実は国によって日付も由来も異なりますが、台湾の「母の日」は日本と同じくアメリカから伝わったものなので、毎年5月の第2日曜日にお母さんにカーネーションとメッセージカードを渡して感謝の気持ちを伝える日となっています。ただ、中華圏の伝統として親を大事にする文化があるため、母の日になると一家で最も年長の母親(祖母や曾祖母)を中心に親戚で集まって食事をしたり、ケーキを食べたりします。
台湾の母の日はなにが売れる?
母の日にプレゼントを贈るかどうかは家庭の習慣や個人の考えにもよりますが、夫が妻に贈ったり、子供がお母さんに贈ったり、はたまた女性が普段頑張っている自分へのご褒美として購入することがあります。
予算によって、家事に使うキッチン用品、掃除用品だったり、化粧品や健康食品だったり、家電やマッサージ機だったりと様々です。近年は旅行券や食事券、マッサージ券をプレゼントすることも増えました。
前述の通り台湾は親、特に母親を大事にする文化のため、他のクリスマスや38婦女節といったイベントよりも深く根付いているため、オンライン・オフライン問わず多くの販路で母の日のセールを行っています。
また、上半期にはほかに大きな販促イベントがないことから、台湾で最も消費力の高いと言われるアラサー独身女性(=輕熟齡)もこの時期にコスメやスキンケア商品などをまとめ買いするので、女性向け商品を販売するブランドにとっては、一年に数度しかない大事な販促イベントとなっているのです。
以下では、各販路の母の日商戦についてそれぞれ簡単にご紹介していきます。
台湾のデパートの母の日商戦
台湾のデパートにとって母の日は10月の周年慶に並ぶ一年で最も大事なイベントのひとつ。というのも、台湾のデパートのメイン消費者が30代~50代の女性のため、ママではなくても「母の日」という女性向け商品に絞ったセールにはとても関心が高く、デパート側も3月から母の日のDMを用意するなどしてかなり力を入れています。
台湾のデパートの母の日はなにが売れる?
18歳から44歳の女性向け雑誌、台湾版マリ・クレール(美麗佳人marie claire)でもデパートの母の日商戦の特集を組んでおり、これによると母の日にデパートで買うべ商品はスキンケア、フレグランス、ヘアケア、コスメだそうです。
実際に各百貨店のDMを観てみてもこういった商品がページの大半を占めているほか、ファッションや家電などにも力を入れています。
台湾のデパートの母の日はどんな販促をする?
台湾のデパートの母の日で最もよく見られる販促は以下の通りとなります。
- 商品券:〇〇元買ったら〇〇元分の商品券プレゼント
デパートとクレジットカードを発行している銀行の両方で商品券のプレゼントがあるため併用すると消費者側はかなりお得になります。デパートの場合は2000元以上、銀行の場合は一回に切る消費金額が最低でも5000元以上でないともらえないところが多いため、まとめ買いを促す効果もあります。 - ノベルティプレゼント:〇〇元以上消費でノベルティプレゼント
鍋、水筒、傘、リュック、食器、キャラクターグッズなど500元~1000元くらいのプレゼントが多く、日替わりでしかもノベルティにしては比較的高額のため、このノベルティプレゼントのために毎日来る消費者もいます。 - ポイントプレゼント:
〇〇元以上消費で〇〇元分のポイントプレゼント - 割引、お得なセット、試用品プレゼント
これは各ブランドによりますが、まとめ買いしてもらうためにいつもよりお得なオファーを打ち出したり、試用品を大量にプレゼントすることで新しい商品を知ってもらうほかに、顧客の忠誠度をあげることもあります。また、今年は特に政府から還付金(普發現金)6000元が4月に配られたばかりということもあり、この「6000元」に絡めたお得なオファーを用意しているところもあるそうです。
どの販促方法もデパートでは定番になっていて消費者も慣れていて受け入れやすいので、台湾で母の日の販促をするときは積極的に取り入れてみたいですね。
台湾のECモールの母の日商戦
momoやShopeeのような女性のユーザーが多いECモールにとって、母の日商戦はダブルイレブンに続いて大事なイベントになります。特に、一年の上半期は38婦女節くらいしか大きなイベントがなく、6月から9月にかけては消費が少なくなる閑散期に入ってしまうので、その前にすこしでも業績をあげようと、母の日商戦はどのECモールも全力であたります。
これはスタッフの経験になりますが、momoでは旧正月明けから母の日のDM掲載や広告プランなどの案内が始まり、38婦女節を過ぎたころには倉庫への入庫予約が段々取りにくくなります。そのため、はやいうちに在庫の予定を立てて入庫の手配しないと、いざ母の日シーズンを迎えてもmomo倉庫に在庫がないから売れない…なんてことになりかねません。泣
台湾のECモールの母の日はなにが売れる?
台湾のECモールの母の日に最もよく売れるのは家電、化粧品、ブランドバッグ、そして健康食品などです。
母の日は家事に使う掃除家電や調理家電がプレゼントによく選ばれるほか、マッサージチェアなどのマッサージ機、美顔器などの美容家電も母親から喜ばれる傾向があります。台湾には日本のような大型の家電専門の量販店があまりなく、ネットで家電を購入する習慣があるため、母の日のECモールにとって家電は主力商品のひとつとなります。
健康食品は年配の方へのプレゼントとしてよく選ばれます。定番は滋養強壮や疲労回復に効くという鶏精(チキンエキス)や人参(高麗人参のような漢方)で、ギフトボックスに入っていてお値段も1箱2000元前後と高額なのでセールで販促をするにはぴったりの商品と言えます。
台湾のECモールの母の日はどんな販促をする?
台湾のECモールの母の日で最もよく行われている販促は、抽選、割引、ポイントプレゼント、ノベルティプレゼントなどです。去年の例をあげると:
- Shopee:
送料無料券、50元のクーポン、抽選で当たるクーポンやブランドバッグ、割引など - momo:
クーポンや割引券の抽選、〇〇元以上購入でノベルティプレゼント、抽選で当たるお掃除ロボットなど - PChome:
抽選で当たるクーポン券、〇〇元以上購入で参加できる家電やホテル宿泊券などの抽選、Lineポイントの抽選、指定のクレジットカードでの購入で最大25%バック
デパートに比べてECモールではクーポン券を使った販促が多いように感じました。ECモールではアカウントがあるので、そこにクーポン券をバックするのがECモール側にとってもやりやすく、消費者もお得を実感できるからなのかもしれませんね。
台湾のスーパー・コンビニの母の日商戦
日常生活に欠かせないスーパーやコンビニでも、ケーキをメインに母の日のプレゼントにできるような様々な商品の特集を行っています。
台湾最大のスーパーチェーン「全聯福利中心」のDMでは母の日のケーキをメインに、公益団体とコラボした母の日ギフトボックスなどのスイーツを用意しているほか、家電・健康食品など母の日のギフトも特集しています。
セブンイレブンのDMでもメインは母の日ケーキですが、定番の調理家電や台湾各地の名店のお取り寄せ食品なども特集しており、セブンイレブンが推しているicashという電子マネーを使えば大幅値引きされる商品もあります。さらに、DM上のバーコードをスキャンすれば最寄りのセブンイレブンで受け取れるので、オンラインが苦手なアナログ世代でも注文しやすくなっています。
台湾のレストラン・ケーキ屋さんの母の日商戦
台湾を含む中華圏の伝統として親を大事にする文化があるため、母の日になると一家で最も年長の母親(祖母や曾祖母)を中心に親戚で集まってレストランで食事をしたり、ケーキを食べたりします。
そのため、レストランでは母の日限定のセットメニューを販売するほか、4月中の予約でケーキやロブスターをプレゼントしたり、〇人以上で1人無料!や、〇〇元以上でクーポンプレゼント、抽選で当たるダイアモンドネックレスなど様々な工夫を凝らしています。
ベーカリーやケーキショップではどの業種にも先駆けて母の日ケーキのポスターやDMを用意して店頭に置いたりするため、これを見ると母の日が来たなあと感じます。
まとめ
今回は、台湾の母の日商戦についてご紹介させていただきました。女性向け商品を販売するブランドにとっては一年の上半期で最も大切なイベントになるため、はやいうちに準備しておきたいですね。
弊社コラムではこのように台湾の販促イベントや実際の販促活動の事例、台湾の消費者習慣など台湾でビジネスをされる方のマーケティングに役立つ情報を発信しております。Twitterでもほぼ毎日、台湾で見かけた販促事例についてご紹介しておりますので、そちらもぜひチェックしてみて下さい。
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